ミ・サ・キ・コラムCOLUMN
スケーリングは歯石取りの事で、人も歯医者さんで行われている作業です。
人の場合は無麻酔で行われますが動物の場合は麻酔処置が必要となりますので獣医師とご相談の上ご予約を取っていただきます。
スケーリングの流れ
処置当日ご自宅で
歯石取り前日の夜9時以降絶食。当日朝より絶水・もちろん絶食となります。
来院後~処置まで
血液検査を行い全身状態のチェック!(事前に受けていれば必要ありません)
今回のワンちゃんは、6歳になるため念のため術前より静脈点滴開始。
静脈点滴は術中も行います。
処置(1)
午後2時、処置スタート!
奥歯には結構歯石が付いていますね。歯肉も炎症を起こし赤くなっています。
歯肉と歯の隙間にも歯石が入りこんでいるため歯肉炎を起こしているようです。
『歯科用超音波スケーラー』で歯石除去を行います。この器械は先端の超音波振動により硬い歯石を粉砕しながら除去していきます。
歯を強く擦るわけではないので歯の表面のエナメル質を傷つけずに歯石除去を行うことができます。
歯肉と歯の隙間も綺麗に除去していきます。表面だけでなく普段はケアしづらい歯の裏側も綺麗にしていきます。
処置(2)
一通りスケーラーでの除去が終了したら『ルートプレーニング』を行います。
ルートプレーニングはスケーラーのとどかない歯周ポケットの歯石を取る作業です。歯石は表面だけでなく歯肉の奥まで入りこみます。見える部分だけ除去をしても歯周ポケットに歯石が残っていてれば歯根炎等を起こしたりします。
またこの作業により深くなってしまった歯周ポケットを浅くする事ができます。
歯石除去後、歯周ポケットが広過ぎてグラグラになったり、既に炎症が歯根まで達している場合、残念ながら歯を抜く作業を行います。
処置(3)
次に、ポリッシングを行います。
研磨剤を使い、歯の表面を磨いていく作業です。
歯の細かい凹凸を磨くことで表面を滑らかにして歯石を付きづらくするための作業です。
スケーリング終了!
午後3時過ぎ
黄色く歯石の付いた歯がとても綺麗になりました。
歯肉の炎症が強い場合歯周ポケットに抗生剤の軟膏を注入する作業を行う場合もあります。
今回は抜歯処置などがない一般的なスケーリングだったため時間は約1時間で終了しました。
スケーリング終了後~ご自宅で
この後麻酔からも順調に覚め夕方退院し、晩御飯はいつもより遅い時間に少量づつ、2回に分けて与えてもらいました。
病院で全身麻酔をかけていますし一日絶食しているので急にいつも通りの食餌を与えてしまうと気持ちが悪くなり、嘔吐や誤嚥をしてしまうこともあるからです。
ワンちゃんやネコちゃんの歯石除去は人と違い一日掛かりの作業となってしまいますが、一度歯石の付いてしまった歯はしっかりスケーリングをして、その後お家で歯磨き等頑張って歯石予防をしっかり行ってあげることが重要になります。